10年以上前の不貞慰謝料を取り、財産分与も得て離婚した事例

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
ご相談者Xさん (福岡市博多区)
職業:専業主婦
世帯年収:800万円
婚姻期間:20年以上
解決方法:裁判
子どもあり (成人)
離婚を求められた

相手:50代会社員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

サポート無 サポート有 増額利益
離婚 不成立 成立
慰謝料 0円 100万円 100万円
養育費 0円 月額12万円 月額12万円
財産分与 0円 440万円 440万円

 

 

状況

Xさんは、夫Yさんと結婚し同居を開始しましたが、お子さんが10歳のころ、Yさんの浮気が発覚しました。

Xさんは、ひどく精神的苦痛を受けましたが、お子さんがまだ小さかったため、その後10年以上にわたり我慢を続けてきました。

Yさんは単身赴任が長く、その流れで別居が開始されました。そのようなさなか、Yさんが突然Xさんに対し離婚調停を申し立ててきました。

そこで、Xさんは、今後のことについて、弁護士に相談しました。

 

 

弁護士の関わり

Xさんは、Yさんとの離婚はやむを得ないと考えてはいましたが、お子さんの進路の関係で、すぐ離婚をすることには消極的でした。もっとも、調停が申し立てられている以上、これを無視することもできません。

そこで、まずは財産整理から始めました。Xさんは比較的多額の特有財産を有していました。

もっとも、共有財産と入り混じっている部分がありましたので、相手にもなるべくわかりやすい形で特有財産の主張をしていきました。

その甲斐あって、相手方はXさんの特有財産について争ってくることはありませんでした。

財産整理が終わってきた段階で、こちらとしてはいよいよ現時点での離婚を受け入れるかどうか決断をする日が近づいてきました。Xさんとしてはやはり離婚には消極的でした。

しかし、調停が不成立となり、訴訟になってしまえば、かえってXさんは経済的利益が減少してしまう点で、不利な立場に立たされてしまう可能性が高い状況でした。

そこで、Yさんにも、離婚によりお子さんの進路に影響が出ないよう最大限配慮してもらうことを前提に、最終的にはXさんも納得し、有利な条件で解決に至りました。

法的問題

本件では、①10年以上前の不貞に対する慰謝料請求は認められるか、②10年以上前の慰謝料請求権は時効消滅してしまうか、③成人した子どものための養育費支払請求は認められるかが問題として挙げられます。

①10年以上前の不貞に対する慰謝料請求は認められるか

不貞行為が発覚した場合、その行為は民法709条に基づく不法行為に該当し、慰謝料を請求することができます。

もっとも、なぜそのような支払義務が生じるかというと、不貞行為が婚姻関係を破綻させるからです。

逆にいうと、不貞行為が発覚したにもかかわらずこれを請求せずに月日が経過してしまうと、裁判所は「婚姻関係が破綻しなかった」と評価してしまいます。言葉を変えると、「不貞した配偶者を宥恕した(=許した)」と判断されるわけです。

もちろん、耐えがたい思いを抱えながら生活をしてきたことを考えれば、許すなんて気持ちは毛頭ないと思うのが通常でしょうが、それはあくまで主観的な話ですので、裁判所は採用してくれません。

したがって、月日が経過しすぎてしまうと、慰謝料請求権がそもそも発生しない可能性が出てきてしまうため注意が必要です。

②10年以上前の慰謝料請求権は時効消滅してしまうか

慰謝料の請求、すなわち民法709条に基づく損害賠償請求権は、「損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは時効によって消滅する。」と規定されています(民法724条前段)。

これだけみると、10年以上前の配偶者の不貞に対する責任追及はできないようにも思えます。

しかし、婚姻関係を継続している相手に対し、「慰謝料を払ってください。」と求めることは容易ではありません。特に、不貞を許したわけではないが、諸事情により婚姻関係の継続を選ばざるを得なかったということもあると思います。

そのため、夫婦の一方に対する損害賠償請求権は、婚姻している間は、時効は完成しないとされています。

民法159条
夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消のときから六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

したがって、3年以上前の損害賠償請求権であっても、夫婦の一方に対するものであれば、時効によって消滅することはありません。

③成人した子どものための養育費支払請求は認められるのか

「養育費」というと多くの方が未成年の子どもを対象としたものというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。確かに、裁判所が使用している算定表も、19歳を上限とするものしかありません。

しかし、養育費の支払いに関する条文には、「未成年者」との記載はありません。裁判所の考え方は、養育費の支払いは「未成年者がいる場合」ではなく「未成熟子がいる場合」と考えています。

具体的には、大学生の場合、父母の収入がある程度あり、父母も大学を卒業している家庭であれば、4年制の大学卒業までは未成熟子とするのが一般的であるとされています。

したがって、成人した子どもであっても、未成熟子となり得るため、養育費支払いが認められる場合があります。

 

 

補足

離婚訴訟において、裁判所が離婚を認めるのは、民法所定の離婚原因がある場合です。

離婚原因について、くわしくはこちらをごらんください。

 

 





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