経営者(社長)が離婚の際に妻を解雇できるか?【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚と解雇問題

離婚届と印鑑離婚と解雇は一見すると関係がないように見えます。

離婚は、家族の問題であるのに対し、解雇は会社と従業員等との問題だからです。

しかし、一方配偶者が中小企業の経営者の場合、妻にその事業を手伝ってもらっている場合があります。

また、実質的には何も手伝ってもらっていなくても、形上、役員に登記していたり、雇用契約を締結している場合もあります。

このような場合、離婚の際に、その妻の地位をどうするかが問題となります。

契約形態としては、雇用契約(妻が労働者の場合)、委任契約(妻が会社役員の場合)があるので、以下、場合を分けて解説します。

 

 

妻を雇用している場合

会社経営者が、配偶者を従業員として雇用している形態は多く見られます。

では、離婚する場合に相手を解雇ができるでしょうか。

解雇は使用者が雇用関係にある労働者に対して行うものであり、夫婦間の問題とはまったく別個です。

したがって、例えば、相手が不貞行為を行っていたとしても、そのことのみを理由に解雇することはできません。

また、勤務成績が悪いなどの理由により、解雇する場合についても慎重な判断が必要とされます。

弁護士すなわち、解雇については、労働契約法第16条によって、客観的・合理的な解雇事由があり、かつ、社会通念上相当と認められないかぎりは、解雇したとしても無効と判断されるからです。

ただ、相手の不倫相手が同じ就業場所の従業員であったような場合には、職場内の不倫関係を理由とする解雇を有効として裁判例もあるので、判断が分かれるところでしょう。

いずれにせよ、従業員として雇用している相手と離婚の話し合いをする際は、従業員としての地位の問題も一緒に解決する必要があることを念頭に置かないと、離婚の際に大きな障害になります。

 

 

妻を取締役等の役員にしている場合

会社経営者が、他方配偶者を会社役員にしているケースも多く見られます。

例えば、夫が代表取締役、妻が専務取締役などの例です。

この場合、社長である夫が、離婚を理由に妻の意に反して解任することができるでしょうか?

終身雇用を前提とした雇用契約の場合と大きく異なり、取締役と会社の関係は、委任契約であり、任期があります。

したがって、任期が経過し、再任されなければ、役員としての地位は失われます。

任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結のときまでです(委員会設置会社は1年)。

ただし、委員会設置会社以外の非公開会社においては、定款で10年以内の期間に伸張することができるため、定款の確認が必要となります。

解任については、株主総会の普通決議によって解任することが可能です。

したがって、夫が議決権の過半数を有していれば、基本的には解任することができます。

ただし、会社によっては、定款により普通決議を上回るように定めている場合もあるので、定款の確認が必要となります。

また、解任のための正当な理由がない場合、妻は会社に対し損害賠償を請求することができます。

 

 

まとめ弁護士

以上、離婚する際の解雇や契約解除について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚する場合、財産分与等の問題だけでなく、配偶者との契約関係も合わせて解決すべきです。

しかし、雇用契約の場合、労働契約法上、解雇するには厳格な要件が必要となります。

また、役員の場合、契約解除はできたとしても、相手から損害賠償請求をされるリスクがあります。

リスクを回避するために、会社経営者の離婚問題に詳しい弁護士にアドバイスをもらいつつ、慎重に進めていかれることをお勧めいたします。

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