確定拠出年金は財産分与の対象となる?

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者・3級ファイナンシャルプランナー

確定拠出年金も財産分与の対象となり得ます。

 

確定拠出年金について

確定拠出年金とは?

確定拠出年金とは、

  • 個人又は事業主が拠出した資金(掛金)
  • これを個人が運用して得た利益(運用収益)

を基にして、将来における給付額が決定する私的年金のことをいいます。

掛金の運用実績によって将来の支給額が決まりますので、事前には確定していません。

最近では、従来の退職金代わりに、この確定拠出年金制度を導入する企業も多くなっています。

 

確定拠出年金の種類

確定拠出年金には、「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金」があります。

企業型確定拠出年金

「企業型確定拠出年金」とは、企業が定期的に拠出した掛金を、加入者個人(従業員)が運用する仕組みとなっています。

※加入者個人も掛金の拠出が可能な場合もあり

従来の退職金制度では、例えば、退職時に企業が個人(従業員)に対して、退職金としてまとまったお金を渡すものでしたが、上記「企業型確定拠出年金」は企業が定期的に掛金を拠出しているため、いわば企業が、個人(従業員)に対して退職金を少しずつ拠出している形になります。

そのため、この「企業型確定拠出年金」というものは、いわゆる退職金に近いものといえます。

個人型確定拠出年金

「個人型確定拠出年金」とは、個人が自分で掛金を拠出して、これを運用していくものです。

これについては、個人別に管理される資産であり、年金または一時金として支給されるものになります

そのため、この「個人型確定拠出年金」は、個人の金銭を原資にしているという点で、預貯金に近いものといえます。

参考:確定拠出年金制度の概要|厚生労働省

以上のようなものとなりますので、「企業型確定拠出年金」にしても、「個人型確定拠出年金」にしても、冒頭で記載したように、確定拠出年金については財産分与の対象となり得ます。

 

 

財産分与における、確定拠出年金の評価方法

財産分与の原則

財産分与においてその対象となる財産は、婚姻期間中に形成したものに限られます。

そのため、確定拠出年金についても、原則として、あくまで婚姻期間中の掛金相当の部分が対象になります。

 

確定拠出年金の全体像が確定している場合

確定拠出年金を既に受給している場合などの全体像が確定しているは、受給額の全体像が確定していますので、財産分与の対象財産となるところについては、比較的明確になります。

例えば、以下のとおりの処理となり得ます。

具体例 確定額:1000万円の場合

勤続年数:40年
同居年数:20年


財産分与の対象部分は、1000万円 × 20 / 40 = 500万円となります。

 

確定拠出根金の全体像が確定していない場合

他方で、まだ掛金の積立途中であるなどして、全体像が確定していない場合は、どの部分までは対象財産となるのかについて、複雑な問題となります。

そもそも、将来もらえるものであること、しかも運用という側面もあることから、受給できるのかも含めて、その全体像を把握できない実情があるからです。

一般的には、

  • 確定拠出年金の積立満期までの期間
  • 退職までの期間

などによって、受給の蓋然性を認定したりすることが多いという印象です。

全体像が確定する蓋然性が高ければ、財産に参入することになりますし、だいぶ先になりそうであれば、財産分与の対象対象に入れることが難しいケースもあるかと思います。

 

 

まとめ

確定拠出年金は、財産分与の対象財産となり得ますが、その評価方法については様々な見解があり得るところであり、明確な基準が存在するわけではありません。

確定拠出年金の評価など、財産分与についてお悩みの方はご相談ください。

 

 

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