コロナを理由に面会交流を拒否できる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


面会交流は原則として認めなければなりませんが、具体的な状況によっては拒否が認められる場合もあります。

2020年3月ころから、日本において、新型コロナウィルスの感染者数が急速に増加するようになり、4月7日、東京をはじめとする7都府県に緊急事態宣言が発令されました。

その後、緊急事態宣言は全国に広がり、国民は不要不急の外出を自粛するように求められるようになりました。

感染予防のため、他人との接触を極力減らすことは一定の効果があると思われますが、その反面、人々は行動の自由を奪われ、自宅にとどまることを余儀なくされるようになりました。

その結果、面会交流の実施についてとトラブルが多発しています。

新型コロナウィルスへの感染予防のため、面会交流を実施しないという事案です。

そこで、感染予防と面会交流の問題について、解説いたします。

面会交流とは

面会交流とは、離婚の際に、親権者とならず、子を監護養育していない親が、子どもに面会したり、一緒に時間を過ごしたりして交流する権利のことです。

面会交流については、離婚の際に、頻度や実施方法等について、離婚協議書(公正証書)や離婚調停において、具体的に取り決めをしていることがあります。

このような場合、いくら新型コロナウィルスの感染防止のためとは言え、面会交流が断絶されるとトラブルに発展することが予想されます。

また、特に取り決めをしていない場合であっても、これまで問題なく実施していた面会交流が断絶されると、トラブルに発展するケースがあるでしょう。

 

 

面会交流を制限できる場合

面会交流は、非親権者(非監護者)にとってだけではなく、子供にとっても重要な制度です。

子どもにとっては、別居していなくても、定期的に交流させてあげたほうが心身の発達にとっても好ましいと考えられているからです。

そこで、よほどの事情がない限り、面会交流は制限されるべきではありません。

よほどの事情とは、具体的には、権利者側に以下のような事情がある場合を言います。

  • アルコール依存症や性格破綻
  • 子どもに暴力をふるう子どもの心を動揺させるなど悪影響を与える
  • 経済力があるにもかかわらず養育費を支払わない
  • 子どもが面会交流を望んでいない

面会交流について、くわしくはこちらのページをご覧ください。

 

 

コロナの感染予防を理由に拒否できる場合

面会交流の上記のような制度からすれば、面会交流の制限にあたっては、単に「緊急事態宣言が出ている」という理由だけで認めるのは不当だと考えます。

例えば、緊急事態宣言下であっても、感染者数が極めて少なく、学校も再開されており、子供も積極的に望んでいるような場合は認められるべきだからです。

そのため、以下の諸事情を参考として総合的に判断すべきと考えます。
  • 当該地域における感染リスクの有無・程度
  • 政府の外出自粛の要請の有無・程度
  • 子供側の事情(年齢、意思等)
  • 面会交流についての取り決めの有無と内容
  • これまでの面会交流の実施状況

 

 

面会交流を求める側のポイント

子供の感染予防面会交流を求めるのは父親のケースが多いです。

相手(母親)が面会交流を拒むのは、子供の感染をおそれているからだと思われます。

このような場合、以下のような方法で「3密を避けた面会交流の実施」を提案することで、母親を安心させるようにするとよいでしょう。

3密を避けた面会交流の実施について

  • 公共交通機関を利用しない
  • 自宅以外の屋内の施設(ショッピングモール、映画館、飲食店)を利用しない
  • 屋外の施設でも遊具などに手を触れさせない
  • マスクを着用し、手洗いと消毒を確実に実施する
  • 時間を通常よりも短くする

また、上記を提案しても応じてくれない場合、間接交流を提案してもよいでしょう。

間接交流とは、例えば、オンラインや電話等で交流する方法です。

オンラインといっても決して難しくはなく、LINEのビデオ通話機能を利用するなどで、スマホを持っている方であれば、ほとんどの方が簡単に実施できます。

もちろん、直接交流が望ましいと思われますが、相手が応じてくれない場合、次善の策として有用であると考えます。

 

 

面会交流を拒否する側のポイント

弁護士例えば、感染者数が急増している、公共交通機関を利用しなければならない、子供自身が感染を恐れていて外出したがらない、などの理由で面会交流を拒否したい場合に、相手が納得しないことがあります。

このような場合、相手を説得するためのコツとして、以下のような方法が考えられます。

面会交流を実施できない理由を具体的に説明する
単に「感染が怖いから」ではなく、お住いの地域の感染者数を示すなどして、具体的にリスクを説明することで理解してくれる可能性があります。
面会交流を実施できるようになる基準を協議する
相手は「このままずっと面会交流できなくなるのではないか」と疑心暗鬼になっている可能性があります。
このような場合、例えば、「緊急事態宣言が解除されたら」「感染者が1週間以上出ていない」など、面会交流を再開する基準について協議すると、安心してくれる可能性があります。
間接交流を提案する
直接交流の代わりに、間接交流を提案すると、相手が安心してくれる可能性があります。

 

 

まとめ

新型コロナウィルスのパンデミックは、現在生存している日本人のほとんどが経験したことがない未曾有の非常事態です。

そのため、面会交流の円滑な実施にも多大な影響を及ぼしています。

他方で、社会が混乱している状況だからこそ、家族間のトラブルは早期に解決すべきです。

そのため、離婚専門の弁護士に具体的な状況を伝えて、適確なアドバイスを受けるようにされてください。

当事務所では、離婚事件チームに所属する弁護士が面会交流について親身になってご相談に応じております。

ご相談についてはこちらをご覧ください。

 

コロナと離婚問題について、こちらに関連ページがあります。

 

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:離婚事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。


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