肉体関係なしだと慰謝料請求はできない?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


弁護士の回答

肉体関係がない場合でも、慰謝料請求が認められる可能性があります

 

不貞行為とは

法律上、不貞の被害者は、配偶者の不貞行為を根拠として、その配偶者と不貞行為の相手に対し、不法行為に基づく慰謝料を請求することができます。

この「不貞行為」の定義は必ずしも統一されてはおらず、不貞行為により害される利益をどのように解するかによって変わってきます。

実務においては、「配偶者以外の者と性的関係(肉体関係)を結ぶこと」と狭義に解する説が有力とされてきました。

学説の中には、「一夫一婦制の貞操義務に忠実でない全ての行動であり、姦通的行為よりも広い概念」など、肉体関係に限定しない説もあります。

これは、不貞行為によって害される利益を、夫婦生活の円満と解する考えと近いものといえます。

このように、慰謝料を請求できる場合について、法律上、明確ではなく、そのため学説も別れているのが現状です。

不貞行為と慰謝料について、会っただけで不倫の慰謝料は発生するかについてはこちらをご覧ください。

 

 

注目すべき判例

弁護士実際の裁判においては、肉体関係があったと認められる場合に、慰謝料を支払えという判決が出されることがほとんどでした。

しかし、平成26年3月、大阪地方裁判所で、妻が、夫の交際女性に対し、不貞慰謝料請求を行った事案において、交際女性と夫との間に肉体関係があったとまでは認められないとしつつも、慰謝料44万円の支払を命じる判決が出されました。

この判決は、肉体関係なしでも慰謝料が認められたケースとして、プラトニック不倫判決とニュースでも大きく取り上げられました。

この事案では、夫が同僚の女性に何度も肉体関係を迫りながらも、女性は巧みにかわして一線を越えませんでした。

例えば、夫がキスをしようとしたり、肉体関係を迫ると、その女性は「奥さんがいる人とはそういう対象として見れない」と言って抵抗していたことから、肉体関係の可能性を否定しました。

しかし、その女性は夫のアプローチをはっきりとは拒絶せずに、逢瀬を重ねて二人の時間を過ごしたことから、裁判所は慰謝料の請求を一部認めました。

このような裁判例からすると、広く不倫関係にある者は、相手方との肉体関係がなくても慰謝料を請求されるおそれがあることになります。

 

 

肉体関係の証明ができない

実務上、相談が多いのは、肉体関係は間違いがないものの、その確定的な証拠がないというケースです。

例えば、配偶者と不倫相手のLINEのやり取りや、写真などから、二人が交際していることは証明できるものの、肉体関係までは証明できない、というケースが典型です。

このようなケースにおいて、相手が肉体関係を認めてくれたら立証は必要ありません。

しかし、相手が肉体関係を否定すると、立証できずに裁判で負けてしまう可能性が高くなります。

そのため、不貞行為の証拠を押さえることは実務上、とても重要と言えます。

不貞行為の証拠の集め方については、こちらのページで解説しています。

 

 

キスや密会などの不適切な関係の慰謝料

また、実務上、肉体関係の証拠はないものの、キスや密会している証拠があるという事案も多くあります。

このようなケースでは、不貞類似行為として、慰謝料が認められる場合と認められない場合が混在しています。

慰謝料が認められるか否かは、当該行為の内容・頻度、その他の事情を総合考慮して判断することになりますので、慰謝料の問題に詳しい専門家に相談されると良いでしょう。

 

まとめ弁護士以上、肉体関係がない場合の慰謝料請求の問題について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。

肉体関係がない事案であっても、状況によっては慰謝料が認められる可能性があります。

どのような場合に慰謝料が発生するか、またその額については専門的な判断が必要となります。

また、どのような証拠があれば、不貞行為と認められるかについても、慎重に判断すべきです。

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不倫(不貞行為)
執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:離婚事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。

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