浪費癖がひどい妻に、不動産や養育費を渡さない方法は?
私は、元妻と離婚協議をしており、子どもは元妻が監護するということになりました。
そして、私は将来のこともあるので、事業の上手くいっている今のうちに財産分与として不動産を譲り、養育費も一括で支払うことにしました。
しかし、元妻は浪費癖がひどく、不動産を売却しないか心配ですし、養育費も子どものために使うのか心配です。
不動産や養育費を元妻に渡さない方法はないのでしょうか?
まず、不動産に関しては、不動産を元妻に使用貸借し、子どもが成人になったころに元妻に譲渡するなどの方法が考えられます。
一方、不動産や養育費について、信託をする方法も考えられるでしょう。
浪費癖のある元妻への財産分与・養育費の支払い
不動産について
不動産の使用貸借
不動産については、元妻が勝手に売却して浪費するということが心配であれば、子どもが自立できる年齢までは不動産を相談者が保有し、その後に譲渡する方法が考えられます。
つまり、譲渡の時期を先延ばしにするのです。
譲渡の時期は先延ばしになりますが、その期間は相談者から元妻に対して不動産を貸すことによって、元妻と子供は家に住むことができ、売却を避けることもできます。
しかし、この方法ですと、元妻が不動産の所有者となるときには不動産の価値が財産分与時よりも低下している可能性が高いため財産分与に納得できないという可能性もありますし、相談者が所有者のため、固定資産税は相談者に請求されることになってしまい、賃料をもらわずに住まわせるということになると固定資産税は相談者が負担することになってしまいますので、詳細まで取り決めておく必要があります。
住宅ローンがない場合の財産分与については、こちらからどうぞ。
不動産の信託
不動産について、譲渡を先延ばしにすることができない場合には、信託という方法が考えられます。
信託というのは、委託者が受託者にその不動産を譲渡し、その不動産から得る利益を受益者に享受させるものです。
難しく聞こえますが、簡単に言えば、相談者が信頼する適切な第三者に不動産を預けて管理してもらい、不動産から発生した利益を元妻や子どもが使うということです。
この制度を利用するメリットとしては、所有権が受託者に移転されるため、元妻が不動産を処分することを防ぐことができることや、受託者が借金をして強制執行されたとしても、競売にかけられるということがないという点です。受益者が強制執行をされた場合は別です。
この方法の留意点は、信頼できる受託者がいるかということです。
離婚の場合には、当事者間の溝が深まっていることが多いため、相談者の親族が受託者となることは困難な場合が多いです。
そうすると、元妻の親族が候補となるでしょう。
例えば、元妻の両親などがしっかりした方であれば、ご両親に任せるという方法もありますが、両親が高齢や病気の場合には、早期に亡くなって信託の目的を達成できないということもあります。
そのため、元妻の兄弟や従弟などに信頼できる人がいれば、そういった方が適任のことも多いかと思います。
養育費について
養育費については、不動産に比べて、元妻が費消してしまう危険が高いといえます。
しかし、様々な事情により、一括して養育費を渡したいという場合はあるかと思います。
養育費の一括払いについて、詳しくはこちらからどうぞ。
例えば、養育費を払い続けているということ自体が煩わしいとか、相談者のように事業が不安定でお金のある時に子どものお金をあげておきたいなどです。
この場合にも信託が有効です。
信託は、前述のとおり、元妻が勝手に処分することを防ぐように、受託者が元妻に定期的に養育費を支払うように合意をすることができますし、事業がうまくいかなくなった際に相談者が破産しても相談者の債権者がすでに信託をした財産に強制執行をするといったことはありません。
そのため、相談者にとっても、元妻にとってもよい制度と言えます。
もっとも、受託者となれる適切な者がいるのかが問題とはなります。
信託設定の注意点
信託設定の場合には注意が必要となります。
信託設定時には、財産分与や養育費として財産を信託するため、元妻に課税はされません。
しかし、例えば子どものためだということで元妻ではなく、受益者を子どもにした場合には、課税関係の問題が生じるでしょう。
信託設定時には、課税関係の問題も踏まえた設定が必要となってくるのです。
当事務所では、離婚を専門としている弁護士が多数在籍し、税に関することも踏まえて適切な提案をしておりますので、まずは一度ご相談ください。
財産分与について、詳しくはこちらからどうぞ。
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