面会交流を拒否する正当な理由とは?制限が認められるポイント

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  


面会交流

面会交流について質問です。

現在、夫と別居しており、子どもたち(A12歳、B5歳)は私のところにいます。

夫は面会交流を求めてきていますが、上の子(A)が抵抗を示しています。

この場合でも会わせなければならないのでしょうか。

 

 

弁護士の回答

子(A)の年齢は12歳であり、一般的な実務感覚としては、子の意思が十分に考慮されるべき年齢といえます。

そのため、子(A)が本心から夫との面会交流を拒否しており、裁判所においても子の意思をしっかりと確認できれば、仮に夫が面会交流を求めていても、子の意思を尊重して面会交流を制限してもらえる可能性が高いです。

以下で詳しく解説します。

 

 

面会交流の制限に関する判断要素とは?

裁判所は、基本的には面会交流を実施すべきとの立場であり、面会交流を拒否できるのは、面会交流を制限すべき事由がある場合に限ります。

面会交流を制限すべきか否かについては、以下の面会交流の制限に関する5つの要素を踏まえ事案ごとに個別具体的に判断されることになります。

面会交流の制限に関する5つの要素
  • 子に関する要素(子の意思、子の年齢、子の心身に及ぼす影響、子の生活環境に及ぼす影響等)
  • 監護親に関する要素(監護親の意思、監護親の監護養育への影響、監護親の生活状況など)
  • 非監護親に関する要素(非監護親の生活状況、非監護親に問題がある場合など)
  • 子と非監護親の関係に関する要素
  • 監護親と非監護親との関係に関する要素(別居・離婚に至った経緯を含め、現在の両親の関係がどうであるかなど)

 

 

12歳の子供が面会交流に抵抗を示した場合はどうなる?

母子

本事例では、面会交流の制限に関する5つの要素のうち、「子に関する要素」が問題となります。

子に関する要素としては、①子の意思、②子の年齢、③子の心身に及ぼす影響、④子の生活環境に及ぼす影響等が挙げられます。

本事例の場合は、子(A)が面会交流に否定的な意思をもっていること(①子の意思)がどう評価されるかがポイントになります。

また、子の意思を判断するに際しては、意思表示をする子の年齢も重視されます。

本事例において、子(A)の年齢は12歳であり、一般的な実務感覚としては、子の意思が十分に考慮されるべき年齢といえます。

そのため、子(A)が本心から夫との面会交流を拒否しており、裁判所においても子の意思をしっかりと確認できれば、仮に夫が面会交流を求めていても、子の意思を尊重して面会交流を制限してもらえる可能性が高いです。

子の意思を裁判所に伝えるための方法としては、単に子の意思を主張するだけでなく、裁判所に対し調査官調査を促し、子の意思が面会交流に消極的であることを報告書に記載してもらうとよいでしょう。

なお、調査官というのは、家庭裁判所にて子どもの問題を調査する専門職になります。

この調査官が作成する意見書を「調査報告書」といいますが、裁判官の判断に大きな影響を与えるため、調査報告書の記載内容はとても重要な意味をもちます。

調査官の調査においては、面談がありますので、心配であれば弁護士に立ち会ってもらい、調査官にきちんと子の意思が伝わるようにすべきです。

 

 

5歳の子供が面会交流に消極的だった場合はどうなる?

本事例では、面会交流に消極的な子(A)の年齢が12歳でした。

では、仮に5歳の子(B)が面会交流に消極的だった場合にはどうなるでしょうか。

この場合、子の意思だけをもって面会交流の制限をするという判断はなされないのが通例です。

というのも、子が幼いうちは判断能力に乏しいと考えられるためです。

例えば、監護親である母親が父親と会ってほしくなさそうという理由や単にそのときの気分のみで父親に会いたくないとの意思表示がされることも少なくありません。

そのため、子が面会交流に消極的な場合、調査官はその背景にある理由を慎重に調査することになります。

そのうえで、子の心身に悪影響を及ぼすといった場合でなければ面会交流を認める判断になることも多いと思われます。

なお、子の心身に悪影響を及ぼすという主張する場合には、それを証明するための証拠が非常に大切になります。

具体的には、以下のとおりです。

子に関する要素を理由に面会交流の制限が認められるポイント
  • 子の心療内科や精神科への通院記録(診断書等)
  • 主治医の意見書
  • 子が実際に問題行動をとっているのであれば、その記録(写真や動画があれば好ましいが、最低限いわゆる5W1Hがわかるようにノートをとっておく等はすべきです)

 

 

面会交流を制限すべきポイント

上述したように、子に関する要素を理由に面会交流の制限が認められるポイントは、調査官調査と面会交流が子の心身に悪影響であるという証拠になります。

裁判所は基本的に面会交流を実施すべきとの立場であるため、面会交流の制限を主張する側が、面会交流を制限すべき事由があることをしっかりと裁判所に伝えていかなくてはなりません。

面会交流は、財産分与等と比べて法的な複雑さは少ないですが、適切な主張ができないことのしわ寄せは直接子どもにいくことになります。

そのため、面会交流を制限すべき事由があると考えられている方は、是非一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。


 

 

面会交流

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