面会交流を子どもごとに別々に行うこともある?

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

 

面会交流について質問です。

妻と先日、離婚をしました。

長男(7歳)と長女(9ヶ月)の子どもがいますが、子どもの親権者は元妻になりました。

離婚時に面会交流については、合意をしていませんでした。

元妻に面会交流を求めていますが、元妻は、下の子が5歳~6歳になり、そして、2人同時であれば面会交流をしてもいいと言っています。

このような主張は認められますか。

 

 

 

弁護士の回答

結論として、子どもごとに面会交流の実施条件を定めることもあります。

また、お子さんが赤ちゃんであったとしても、面会交流を実施することもあります。

 

面会交流とは?

離婚は夫婦の問題ですが、子どもにとっては両親であることに変わりはありません。

そして、面会交流は、離婚後に別居することになった非監護親と子どもが会う機会を設けることで、子どもの健やかな成長につながるという考えから実施されるものです。

家庭裁判所の実務においては、明らかに子どもの福祉(利益)を害する特別な事情がない限り、面会交流を認めるべきであると考えられています。

明らかに子どもの福祉(利益)を害する特別な事情を、法律用語で面会交流の禁止・制限事由と言うことがあります。

そして、面会交流の禁止・制限事由の典型例としては、以下のような場合が挙げられます。

【典型例】面会交流の禁止・制限事由
  1. 子どもが非監護親によって奪取される危険性がある場合
  2. 非監護親が子どもを身体的、精神的又は性的に虐待していた場合
  3. 非監護親が監護親に対して暴力を振るっていた場合

弁護士したがって、以上のような特別な事情がない限りは、原則として面会交流は実施されるべきとなります。

 

 

面会交流の定め

面会交流について、合意をする場合、もしくは調停が成立する場合、以下のような定めをすることが一般的です。

「甲は、乙に対し、乙が長男〇〇及び長女〇〇と、月1回程度の面会交流をすることを認める。その具体的日時、場所、方法については、子らの福祉を考慮して、当事者間で事前に協議して定める。」

上記条項の場合、原則として、長男及び長女は、同一の日時に一緒に面会交流をすることを想定しています。

また、実務的にも、兄弟がいる場合には、特別な事情がない場合には、兄弟一緒に面会交流を実施することが多いです。

その理由としては、面会交流をする場合には、事前の調整、当日の送り迎えなど、面会交流を実施するための時間や労力がかかります。

弁護士そのため、なるべく同一日時に行うことで、父及び母の負担を軽減することができるため、そのような定めをすることが多いということに過ぎません。

つまり、複数人のお子さんがいる場合には、全員同時に面会交流を実施しなければならないという決まりはないのです。

そして、現実的にも、お子さんごとに面会交流についてのルールや条件を定めるべき場合もあります。

子供例えば、お子さんがそれぞれ障害を持っており、それぞれ格別の配慮が必要な場合や、お子さんごとに面会交流に対する意思が全く異なる場合などが考えられます。

このようにお子さんごとの特別の配慮が必要な場合には、お子さんごとに個別に面会交流についての合意をすることが望ましいといえます。

したがって、お子さんごとに特別の配慮が必要な場合には、それぞれのお子さんについて最善の面会交流の条件を定め、そして、場合によっては、別々に実施することがお子さんの福祉に資するという場合には、お子さんごとに別々に面会交流を実施するなどの配慮が必要です。

 

 

乳児との面会交流は可能?

面会交流は、子どもがたとえ赤ちゃんであったとしても、父又は母である以上当然に認められる権利です。

お子さんが大きくなると、面会交流の際は、親権者がお子さんを連れてきて他方の親にお子さんを受け渡し、その後は親権者の立会いなく、面会交流を実施することが多いです。

しかし、お子さんが赤ちゃんであった場合、面会交流のときのお子さんの身の回りの世話などを、離れて暮らす親が一人で行うことは難しいでしょう。

そこで、お子さんがまだ赤ちゃんの場合には、親権者が同席のもと、面会交流が行われることがあります。

 

 

本件における弁護士の考え

相手方が、長女がまだ赤ちゃんのため、面会交流を実施することに不安がある場合には、まずは長男から面会交流を実施するように求めるべきでしょう。

そして、お子さんが赤ちゃんであったとしても、面会交流を実施することはあるので、長女についても早期の面会交流が実施できるように求めるべきです。

赤ちゃんとの面会交流の際、相手方にとっては、相談者とお子さんが二人っきりになることに対し不安を抱く方が多いですので、親権者の同席を提案したり、第三者の協力を得られるようにしておき、相談者から積極的にこのような条件を提示することで、相手方の面会交流に対する抵抗感を下げることができることもあります。

また、当事者間での話し合いが困難な場合には、面会交流調停を申立てることをおすすめします。

面会交流調停においては、調停委員が同席し適切な面会交流の実施について話し会うことが可能です。

また、場合によっては、家庭裁判所調査官が関与することもあり、家庭裁判所調査官による事実の調査等により、それぞれの子どもに応じて、適切な面会交流の実施条件等について検討することができます。

なお、今後の手続や見通しなどについて、離婚問題を専門とする弁護士にご相談することをおすすめします。

 

 

 

面会交流

なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?   

続きを読む