親権で母親が負ける場合はありますか?【弁護士が解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

弁護士の回答

母親が親権者として不適格な場合や子供が父親に養育されることを強く希望している場合は、母親でも親権を取得できない可能性があります。

 

親権の判断基準

昔と比べて、男性でも親権を取得できる場合も見られるようになりました。

しかし、子どもがまだ小さい場合、男性が親権を取得できるケースは限られています。

一般に子どもが小さい場合の親権者の指定においては、次の点を総合的に考慮し判断されると言われています。

判断内容
  • これまでの監護状況
  • 監護に対する意欲と能力
  • 経済的・精神的家庭環境
  • 居住・教育環境
  • 子どもの意向、年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況
  • 監護補助者の協力の程度

 

 

子どもの意向

子どもが小学校高学年くらいになると、ある程度の判断能力を備えるので、子どもの意思も無視できません。

したがって、これくらいの年齢の子どもが父親についていきたいという意思を持っていると、男性でも親権を取得できる可能性が高くなります。

 

 

妻側が親権者として相応しくない場合

妻が親権者として問題がある場合、男性が親権を取得できる可能性があります。

ただし、妻が重度の精神疾患を患っている、薬物に依存している、といった極端な事情が必要となると考えられます。

男性側からのご相談で多いのが、妻が他の男性と不貞行為を行っている場合に、親権者となれるかという質問です。

しかし、夫婦の問題と親子の問題は、切り離して考えられます。

したがって、妻が不貞行為を行ったとしても、親権者の判断に直接の影響はありません。

ただし、不貞行為が子どもの監護に悪影響を与えたといった事情があれば、親権者の判断にも影響します。

このように、男性が親権を取得するのは基本的には難しいです。

しかし、当事務所では、男性でも親権を取得できた事案がたくさんあります。

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男性が親権を取得する場合の問題点

男性が親権を取得する場合、共通した傾向が見られます。

以下、男性が親権を取得する場合の問題点について解説するのでご参考にされてください。

問題点①監護実績の立証が難しい

近年は、父親でも育児に積極的に関わる方が増えています。

中には、母親よりも育児を行っているようなケースも珍しくありません。

しかし、このようなケースでも、親権を争うと負けてしまうことが多い傾向です。

これは、監護実績について立証することが難しいという問題があるからです。

父親側が「自分のほうが育児を行っていた。」と主張しても、母親側が否定すると立証しなければならなくなります。

また、日本では、「育児は母親側が行うもの」という先入観があり、父親側が監護実績を立証できないと、母親側の方が主たる監護者であったと認定される傾向です。

問題点②子どもの意向を伝えることが難しい

子どもが「お父さんと一緒に暮らしたい」と希望していても、それを裁判所に伝える方法が限られています。

15歳以上であれば、子どもの意向を聞くことが法律上の義務となっておりますが(家事手続法152条2項)、15歳未満の場合はそのような義務がありません。

そのため、子どもが父親と一緒に生活することを希望していても、それを裁判所に伝えることが難しいという問題があります。

子どもの希望を叶えてあげることができない、父親にとって、これほどもどかしく、つらいことはないと思います。

問題点③相手方の監護不適格が認められる可能性は高くない

母親側に親権者たるに相応しくない事情があると、父親側が親権を取得できる可能性があります。

しかし、裁判では、母親側の監護不適格が認められる可能性は高くありません。

例えば、裁判において、「母親であるにもかかわらず、家事を行わなかった」「自分のほうが家事を行っていた」と主張したとします(実際にこのような主張はよくあります。)。

これに対して、母親側が事実関係を争い、「家事を行っていた」と反論した場合、証拠がない以上、裁判所は父親側の主張を認める可能性は低いです。

母親の不貞行為は親権者として失格?

また、「母親が不貞行為を行っており、母親として相応しくない」と主張する事案も多くあります。

この場合、不貞行為については証拠があることが多く、不貞行為の存在自体は認められる事案はあります。

しかし、母親側からは「不貞行為は夫婦の問題であって、親子の問題とは関係がない」などと反論がされ、裁判所も、不貞行為と親権者の適格性は別物と考えています。

執筆者の感覚ですが、裁判実務においては、不貞行為の事案では、母親が不貞行為を行った結果、「子どもに悪影響を及ぼすなど監護に問題があった」ことまで立証が必要だと考えます。

例えば、子どもを不貞行為の相手方と会わせて、その結果、子どもが嫌悪感を持ち、情緒不安定になったような状況です。

このように、不貞行為の事案では、監護への悪影響についてまで立証できなければ、親権者の判断に大きな影響はないと考えらます。

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まとめ以上、親権で母親が負ける場合について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか?

子供の親権は、子供の将来に多大な影響を及ぼすため極めて重要です。

一般的には、子供が小学校低学年ころまでは、母親が親権を取得しやすい傾向です。

しかし、親権者として不適格な事情があれば、母親でも親権を取れない可能性があります。

また、小学校高学年程度になると、子供自身の希望が重要視されます。

もっとも、具体的な状況に応じて、判断する必要性があります。

したがって、親権を取得したい方は、離婚を専門とする経験豊富な弁護士への相談をお勧めします。

この記事が、親権でお困りの方にとって、お役に立てば幸いです。

 

 

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