離婚したら家具は財産分与の対象となる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

弁護士の回答

結婚してから購入した家具、家電、自動車等は基本的に財産分与の対象となると考えられます。

 

財産分与とは

財産分与とは、夫婦が結婚してから築いてきた財産を離婚時に分ける制度のことをいいます。

財産分与の対象となる財産としては、通常、預貯金、現金、不動産、株式等の有価証券、保険(解約返戻金)、動産が挙げられます。

動産としては、家具、家電品、自動車がよく問題となります。

財産分与の分与の割合は、基本的には2分の1です。

これを2分の1ルールといいます。

一方が会社経営者などで特殊な才能があって高額な資産を形成したような場合、分与の割合が7:3、6:4などになることもありますが、よれは特殊な場合です。

会社社長特有の離婚問題はこちらをご覧ください。

すなわち、専業主婦であっても、通常の場合は2分の1を要求する権利があります。

もっとも、分与の方法が問題となります。

すなわち、預貯金等であれば、半分にできますが、家具等については半分にできません。※物理的に半分にできたとしても、価値がなくなるため通常はしません。

したがって、この場合、①夫婦がいずれかが取得する、②売却してお金を分ける、の2択になります。

この場合のメリットとデメリットをまとめると、下表のとおりです。

①夫婦がいずれかが取得 ②売却してお金を分ける
メリット 時価よりも価値が下がることがない ・当事者の納得感が高い
・評価の必要がない
デメリット 評価が難しく、代償金をめぐって対立のおそれがある ・通常は時価よりも廉価でしか売却できず価値が下がる
・売れないものがある

具体例で説明しましょう。

具体例

結婚後、10万円で購入したテレビを想定します。

夫婦がいずれかが取得する場合

夫がテレビを取得する場合、夫は妻に対し、その2分の1に相当する金銭を代償金として分与することになります。

では、その額はいくらが適切でしょうか?

妻としては、10万円で購入したのだから5万円がほしいと思うでしょう。

しかし、家具や家電は通常、購入して期間が経過すると、価値が減少します。

特にテレビなどの家電は高性能な機種が次々と発売されるため、市場価値はほとんどない場合があります。

このようにして、テレビをいくらで評価するかを巡って、対立することが想定されます。

売却してお金を分ける売却してお金を分ける売却してお金を分ける

売却すると、その代金を分ければ良いので、評価をめぐる争いは回避できます。

しかし、通常は、時価よりも安くしか売れないでしょう。

買取業者は商売でやっているのですから、時価よりも安くしか仕入れてくれないからです。

また、テレビの場合は、よほど古くなければ安くても買ってくれると思いますが、家具になると買取すらしてくれないケースも多いです。

 

 

結婚前に購入した家具はどうなる?

家財道具上述したとおり、財産分与の対象になる可能性がある動産とは、夫婦が共に暮らしていた自宅内にある家具・家電や、自動車のことです。

これらのうち、結婚した後に夫婦共有財産から購入した動産が、財産分与の対象となります。

そのため、結婚前から夫婦の一方が使っていた家具・家電や、自動車のローンを全額一方の親が支払った場合などは、財産分与の対象となりません。

このように、結婚前に取得し、財産分与の対象とならない財産のことを特有財産といいます。

また、結婚後であっても、親からもらった家具など、婚姻生活とは関係なく取得したようなものも特有財産となります。

結納金で揃えた家具については、こちらからどうぞ。

 

 

家具等がある場合のポイント

POINT① 適切に評価する

財産分与の対象となる動産については、時価を算定する必要があります。

このうち、家具・家電については、購入後使用し続けて行くうちに価値が損なわれていく(いわゆる経年劣化する)ものなので、高級家具・家電でない限り、時価はあまり高いものとなりません。

そのため、協議し、離婚後の生活でも使用を希望する側が、現物の分与を受け、対価を支払わないということも実際は少なくありません。

自動車査定自動車の場合も時価相当額が財産分与の対象となります。

自動車については、中古車業者やディーラーなどに見積もりを出してもらう形で時価を調べるという方法があります。

また、インターネット上の中古車販売業者のサイトなどで、同じ車種・年式の自動車の販売価格を調べて、時価を算定することもあります。

もっとも、自動車の場合、自宅ほどの価値がない場合がほとんどです。

そのため、高級車ではない場合、あまり複雑化させないようにするため、時価を算定しないことも多いです。

なお、財産分与の全般については、詳しくはこちらのページで解説しています。

 

POINT② ローンが残っていれば控除する

不動産と同様に、自動車については、ローンを組んで購入されている方が多くいらっしゃいます。

そのため、自動車を財産分与の対象とする場合は、時価から残ローンを差し引いて、評価額を算出します。

 

POINT③ 引っ越し・搬出費用の負担

離婚問題においては、実務上、引っ越しをしたり、家具等を搬出する際の費用をどちらがどのように負担するか、という問題が生じることが多くあります。

この問題については、ケース・バイ・ケースで判断すべきであり、一概には言えませんが、実務上多く見られるのは、次のような対応です。

実務上の対応例

  • 引っ越しについては、引っ越す本人が基本は負担する。
  • 引っ越しを本人が希望しておらず、むしろ相手が要求している場合は相手が負担する。
  • 家具等の搬出については、当該家具等の引き取りを希望する本人が費用を負担する。

 

 

まとめ弁護士以上、離婚する場合の家具等の取扱について、詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。

財産分与は、上記のとおり、その評価を巡って争いとなることが多くあります。

また、評価額については争いがなかったとしても、どちらが当該家具・家電・自動車等を取得するかで争いとなる可能性もあります。

これらについては、適切に解決するためには、専門家に相談の上、進めていかれたほうがよいでしょう。

お一人で悩まずに、お気軽にご相談ください。

 

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

財産分与
執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:離婚事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。



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