DVモラハラ夫から月10万円の婚姻費用を獲得した妻の事例

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

掲載日:2016年3月3日|最終更新日:2020年2月3日

ご相談者Tさん (福岡市城南区)
職業:パート
婚姻期間:15年
解決方法:協議
子どもあり (10歳(重度の知的障害あり))
離婚を切り出した

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
離婚 ×不成立 ○成立
財産分与 0円 215万円 215万円
婚姻費用 × 月額10万円 月額10万円
養育費 × 月額3万円 月額3万円
年金分割 × 50% 50%

 

状況

Tさんは、15年前に夫と結婚し、その5年後に子どもを授かりました(子どもには重度の知的障害がありました)。

しかし、夫は、Tさんに対し、日頃から殴る、蹴る等の身体的暴力やTさんの人格を否定するような精神的暴力を続けていました。

そのため、Tさんは、何度も実家へ帰ったり、警察を呼んだり、病院に行ったりしてきました(当時の診断書や写真(痣)あり)。

そんなある日、夫の財布からコンドームや風俗の会員カードが見つかりました。

そこで、Tさんは、離婚を決意し、当事務所の弁護士に、今後の対応等について相談しました。

 

※この事例は、以下争点ごとに弁護士の関わりと補足説明を掲載しています

弁護士の関わり

離婚の成立について

弁護士は、Tさんと打ち合わせを行い、別居日を決めました。そして、その日にTさんを実家へ避難させました。

子どもは知的障害があったことから施設に入所しました。

また、Tさんは夫のDVに脅えていたため、警察へ相談に行き、防犯登録を行いました。

そして、別居日に夫に対して文書で協議離婚を申入れ、婚費請求(月額12万円)、財産分与、年金分割を要求しました。

夫は弁護士にも暴言を浴びせるなどしたため、直接の交渉は話になりませんでした。

そこで、夫に弁護士に相談に行くよう誘導し、夫にも弁護士が付き、夫の弁護士と交渉し、その結果、離婚に応じさせることができました。

養育費の増額について

弁護士は夫の弁護士と交渉しました。

養育費については、相手方弁護士は、支払い義務がないと主張してきました。

すなわち、本件では、子どもが施設に入所しており、Tさんは監護しておりませんでした(子どもの入所費用もTさんは負担していませんでした)。

そこで、相手方は、監護していない以上、養育費の支払い義務は生じないと主張してきたのです。

これに対しては、確かに監護しておらず、入所費用も負担していないものの、子どもの洋服やオムツ等を購入していること、週に1度は自宅に連れて帰っていること等を説明しました。

そして交渉の末、月額3万円の支払いを受けることで合意が成立しました。

婚姻費用の増額について

婚姻費用に関しては、まず、月額12万円の支払いを求めました。

Tさんは子どもを監護しておりませんでした。そこで、相手方は、婚姻費用は5万円しか支払わないと主張してきました。

そして交渉の末、若干減額し、月額10万円の支払いを受けることで合意が成立しました。

財産分与について

財産分与に関しては、まず、財産目録(不動産、預貯金、保険、自動車など)と証明資料の開示を求めました。

その結果、双方の財産は、Tさんが 預貯金10万円であり、夫が預貯金440万円であることが確認できました。

そして、財産分与としては、Tさんが夫から215万円の支払いを受けることで合意が成立しました。

年金分割について

年金分割については、夫の抵抗が強く、当初50%の分割合意に応じてくれませんでした。

しかし、裁判等に移行することのデメリットを伝え、粘り強く交渉することで50%の分割に応じてもらうことに成功しました。

 

補足

離婚の成立について

パートナーがDV加害者である場合、まず被害者に別居させるなどして、物理的な距離を置くことが大切です。

本件でも、Tさんを実家に避難させ、夫にTさんへの接触禁止を通知しました。

これでほぼ依頼者への直接の接触は防ぐことが可能です。

しかし、DV加害者は、激高し、弁護士に対しても暴言を吐くことが多々あります。

これでは話し合いになりません。このような場合、相手方にも弁護士が付くことで冷静な話し合いが可能となり、協議離婚が成立することがあります。

養育費の増額について

養育費は、離婚した後、支払い義務者が子どものために支払うものです。

本件では、形式的には監護しているのが施設であること、Tさんの養育にかかる費用負担が小さいことから、仮に裁判等になった場合、養育費は0円となっていたかもしれません。

しかし、Tさんも実際には養育に関わっていること等を主張し、粘り強く交渉することで、養育費の支払いについて合意を成功させることができました。

婚姻費用の増額について

離婚が成立すると、子どもを監護する方は、相手方から養育費を受け取ることが可能です。

離婚が成立する前は、別居している期間、相手方に婚姻費用を請求できます。

この婚姻費用は、争いとなることが多々あります。

通常、権利者は生活の安定のために多くを望みますし、逆に義務者は減額を希望してきます。

このような場合、家庭裁判所では、基本的に双方の年収から算定します。

本件では、双方の年収からすると、婚姻費用は月額12万円程度の見込でした。

しかし、本件では、子どもに重度の知的障害があり、入所させたことからTさんが監護していないという特殊事情がありました。

そこで、夫側の弁護士は大幅な減額を主張してきました。

財産分与について

DV被害者の方は、パートナーに対する恐怖心から、財産分与等の財産給付をあきらめてしまうこともあります。

しかし、財産分与は収入に関係なく、相手方に請求できる正当な権利です。

本件でも、当初、Tさんは財産分与など考えもしていませんでしたが、制度をくわしく説明し、また、弁護士が交渉するということで安心感を持ってもらいました。

財産分与は、基本的には対象財産の2分の1を請求できます。

本件では、対象財産が450万円(10万円 + 440万円)であり、その2分の1は225万円となります(450万円 × 1/2)。

そこで、夫からは215万円(225万円 – 10万円)の支払いを受けることが可能となりました。

年金分割について

日本では、夫婦間に収入の格差がある場合が多く、夫側が年金分割に難色を示すことが多々あります。

しかし、裁判等では、ほとんどの事案で50%の分割が認められます。また、裁判等に移行した場合、時間、労力、弁護士費用等の負担が大きくなります。

したがって、協議の段階で50%に応じることが双方にとって望ましいと言えます。

本件でも、夫に対して、夫の弁護士を通じて年金分割の制度や裁判等に移行した場合のデメリットを説明し、分割に応じてもらうことに成功しました。

なお、本件は、相手方が公務員であったため、相手方が所属する共済組合に対する手続きが必要となります。

当事務所ではこのような公務員の年金分割もサポート可能です。

この事例の離婚に関する説明は、こちらをごらんください。

なお、今回の事案のようなモラハラ夫について、くわしくは当事務所のDV・モラハラサイトをご覧ください。

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:離婚事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。





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