妻のモラハラでうつ病になった夫が婚姻費用を減額した事例

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

掲載日:2016年3月3日|最終更新日:2020年2月3日

ご相談者Hさん (福岡県糟屋郡)
職業:会社員
世帯年収:620万円
婚姻期間:6年
解決方法:調停
子どもあり (5歳、3歳、1歳)
離婚を切り出した

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
離婚 ×不成立 ○成立
財産分与 500万円 300万円 200万円
婚姻費用 月額16万円 月額10万円 月額6万円
養育費 月額15万円 月額12万円 月額3万円
面会交流 × ○(2週間に1回)

 

状況

Hさんは、6年前に妻と結婚し、その後3人の子ども(5歳、3歳、1歳)を授かりました。

妻は、子どもが生まれると、すべてにおいて、子どもを優先にするようになりました。

例えば、Hさんが仕事から疲れて帰っても、ねぎらいの言葉もありませんでした。

Hさんは、仕事で疲れていても、できるだけ子育てに協力しましたが、妻は感謝するどころか、Hさんの育児に文句をつけました。

また、妻は、Hさんに対して、日頃から「役立たず。」「邪魔よ。」などの暴言を吐く状態でした。

そのためHさんは、うつ病になり、心療内科へ通院するようになりました。

Hさんは、このまま妻との生活を続けた場合、命にも関わると考え、当事務所に相談に来ました。

 

※この事例は、以下争点ごとに弁護士の関わりと補足説明を掲載しています

弁護士の関わり

離婚の成立について

弁護士は、Hさんが精神状況から早期に別居し、妻と物理的な距離を置くことが重要であると判断し、Hさんと打ち合わせを行い、別居日を決めました。

そして、Hさんの別居日に協議離婚の申入書を妻の自宅へ送付し、弁護士が代理人となったこと、今後、Hさんに接触しないこと等を通知しました。

これに対して、妻は離婚に応じないと手紙で回答してきました。

そして、妻側にも弁護士が代理人となり、婚姻費用の調停を申し立ててきました。

これに対して、弁護士は、離婚調停を申し立てました。

妻は、調停においても、離婚に応じないの一点張りでした。

しかし、弁護士から早期離婚に応じることのメリットを書面で具体的に数値で示す等して粘り強く説得しました。

その結果、調停において離婚が成立しました。

養育費の減額について

妻の弁護士は、養育費の額としては月額15万円が適正であると主張しました。

これに対して、Hさんの弁護士は、双方の年収を証拠として提出しました。

そして、Hさんが妻の居住する住宅ローンを支払っていることから、自宅に住んでいる間(2年間)は、月額10万円が適正であると主張しました。

また、自宅から退去する2年後からは月額12万円が妥当であると主張しました。

粘り強く交渉した結果、自宅を明け渡した後の月額12万円で調停が成立しました。

面会交流について

弁護士は、離婚調停を申立て、面会交流に応じるように主張しました。

妻側は、調停においても、面会交流に対して消極的でした。

Hさんの弁護士は、面会交流に応じないようであれば、親権者として不適格であると主張するとともに、面会交流の目的等について伝え、妻側への説得を継続しました。

その結果、2週間に1回の面会交流を認めるという内容で離婚が成立しました。

婚姻費用の減額について

弁護士は、離婚が成立するまでの今後の生活費(婚姻費用)については、月額10万円を支払うと書面で通知しました。

これに対して、妻は離婚に応じないと手紙で回答し、妻側にも弁護士が代理人となり、婚姻費用の調停を申し立ててきました。

妻の弁護士は、婚姻費用の額としては月額16万円が適正であると主張しました。

これに対して、Hさんの弁護士は、双方の年収を証拠として提出しました。

そして、Hさんが妻の居住する自宅マンションの住宅ローン(月額5万円、ボーナス月15万円)を支払っていることから月額10万円が適正であると主張しました。

その結果、調停委員会はHさん側の主張を認め、月額10万円で調停が成立しました。

財産分与について

妻側にも弁護士がつき、離婚調停となりました。

離婚調停において、妻側は、仮に、離婚に応じる場合の財産分与を求めてきました。

Hさんの別居時点における財産の状況は、下記のとおりでした。

Hさんの財産
  • 自宅:時価2800万円程度
  • 預貯金:200万円
  • 株式:10万円
  • 住宅ローンの残額:2600万円

そして、妻は、財産分与として、500万円を要求してきました。

しかし、本件では、Hさんの預貯金から妻が別居後に無断で100万円を引き出していることが判明していました。

そこで、弁護士は、この無断で引き出した100万円を妻の取得財産から控除することを主張しました。

その結果、200万円の財産分与で離婚が成立しました。

 

補足

離婚の成立について

相手方が女性の場合、今後の生活に対する不安から離婚に応じてもらえないことが多々あります。

このような場合、「離婚に応じろ」というだけでは離婚を成立させることが難しいです。

早期離婚のメリットを理解してもらうことがポイントとなります。

具体的には、離婚が成立した場合と離婚に応じなかった場合の見通しについて、具体的に数値で示し、理解してもらうことがポイントです。

例えば、養育費などの離婚条件だけではなく、児童手当、児童扶養手当の額等について、書面で知らせてあげる方法があります。

相手方に弁護士がついていても、離婚専門の弁護士が少ない状況から、相手方弁護士も知らない可能性が高いです。

そのため、当事務所では、相手方弁護士に早期離婚のメリットを資料等を示して説得するようにしています。

養育費の減額について

養育費は、基本的には、夫婦双方の年収で判断されます。

しかし、夫が妻の居住する自宅のローンを負担している場合、養育費をどのように判断するかが争点となります。

住宅ローンの支払いも一定程度は考慮されると考えるべきです。

具体的な額等については、個々の事案毎に判断することになりますので、具体的なケースに応じて、養育費の適正額を判断しております。

面会交流について

離婚協議という対立構造にあると、監護者である妻側が夫と子どもの面会交流を拒否してくることが多々あります。

面会交流は、経済的な問題ではなく、感情的になっていることが多いため、拒否されると、実現することが難しくなる傾向にあります。

しかし、面会交流は、子どもの健やかな成長のためになくてはならないものです。

そこで、当事務所は、面会交流の実現に力を入れており、拒否する方とは粘り強く交渉を行っています。

婚姻費用の減額について

婚姻費用は、基本的には、夫婦双方の年収で判断されます。

しかし、この事案のように、夫が妻の居住する自宅のローンを負担している場合があります。

このような場合、婚姻費用をどのように判断するかが争点となります。

妻側の主張で多いのは、自宅が夫の名義の場合、夫の資産なのだから、自分自身の資産形成のための支払いであり、考慮すべきではないというものです。

しかし、いくら夫名義であっても、財産分与においては夫婦の共有財産と判断されるのですから、まったく考慮されないというのは不当です。

したがって、住宅ローンの支払いも一定程度は考慮されると考えるべきです。

具体的な額等については、個々の事案により、ケースに応じて適正額を判断します。

財産分与について

財産分与においては、時間の流れとともに、対象財産が変動します。

そこで、対象財産の基準時を確定する必要があります。

この基準時については、別居時か離婚時か争いがありますが、本件では、妻がHさんに無断で預貯金を引き出していることから、この引き出した額については、いずれの説に立っても考慮すべきです。

このような無断の引き出しは、妻が預貯金を管理している場合、比較的多いので注意してください。

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:離婚事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。





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