婚姻費用を獲得したうえで早期に離婚ができた、妻Sさん

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA



ご相談者Sさん (佐賀県伊万里市)
職業:会社員(育児休暇中)
婚姻期間:3年
解決方法:協議
子どもあり (長男、長女)
離婚を切り出した

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
離婚 ×不成立 ○成立
養育費 なし 月額2万円を22歳まで
+学資保険の満期返戻金金額の受領
約900万円
婚姻費用 なし 月額3万円 12万円
財産分与 なし 25万円 25万円

 

状況

Sさんは、約3年の結婚生活の中で、口喧嘩となると暴言をはき、仕事を転々とし、Sさんの両親とあまり折り合いがよくない夫との関係に悩むようになりました。

そんなとき、長女を妊娠・出産したことで、一度は家族として頑張っていこうと思うようになりましたが、長男の育児に協力せず、生活費を払おうとしない夫の姿をみて、やはり離婚は避けられないと考えるようになり、別居を始めました。

Sさんは、できるだけ早い解決を望んでいたこと、口喧嘩のたびに心無い言葉をあびせる夫の姿をみてきたことから、夫婦間での話し合いは難しいと考え、弁護士に離婚の交渉をお願いしました。

 

 

※この事例は、以下争点ごとに弁護士の関わりと補足説明を掲載しています

弁護士の関わり

離婚の成立

弁護士は、夫に対し、協議離婚を申し入れました。

夫は、当初は離婚を拒否していましたが、弁護士がSさんの離婚の決意が固いことを伝えたところ、弁護士を就け、離婚協議に応じるようになりました。

Sさん夫婦の共有財産はほとんどありませんでしたが、弁護士は、Sさんが約1年間婚姻費用をもらっていなかったことを踏まえ、未払婚姻費用についても請求しました。

その結果、約4か月というスピードで協議離婚が成立しました。

養育費を増額

弁護士は、夫に対し、婚姻費用の支払いを求めました。

Sさんは、現在の夫の収入から算出される適正額(月額2万円)の養育費だけでは、長女を育てていけるか不安に感じていました。

そこで、弁護士は、進学時・病気のときなどに特別な費用を受領する代わりに、夫が契約者となっていた学資保険を継続し、満期返戻金を養育費として長女に支払うという合意に向けて、交渉しました。

その結果、長女が大学を卒業するまでの間の養育費の支払いと、学資保険満期返戻金も養育費に充てるという内容で、協議離婚が成立しました。

婚姻費用を増額

弁護士は、夫に対し、産休中で収入がないSさんと長女の生活費(婚姻費用)の支払いを求めました。

夫は、当初は離婚と婚姻費用の支払いを拒否していましたが、弁護士を就け、離婚協議に応じ、婚姻費用を支払うようになりました。

財産分与

弁護士は、夫がこれまで支払ってこなかった婚姻費用についても、財産分与として支払うよう求めました。

その結果、未払いだった婚姻費用25万円の支払いを財産分与として受けることができたのです。

 

補足

離婚の成立

Sさんのケースでは、目立った離婚原因がなかったことから、夫が離婚に同意してくれない場合には、離婚成立まで時間を要する可能性がありました。

一方で、離婚成立までの間、相手方は、Sさんと長女の婚姻費用を支払う必要がありました。

また、相手方は、自身の代理人から、婚姻費用の支払の必要性や、いずれは離婚が認められることなど見通しの説明を受けたことを受け、離婚に踏み切ったようです。

相手方に弁護士が就くことで紛争が複雑化しそうだという懸念を抱く方もいらっしゃいますが、実は、早期解決につながることが多いのです。

Sさんには、想像していたよりも早いスピードで、円満に離婚ができたことを喜んでいただけました。

養育費を増額

養育費額が争われた際の適正額は、養育費算定表を用いて計算されますが、双方の収入を基礎とするため、養育費を支払う側の収入があまり高くない場合には、養育費額は低くなってしまいます。

しかし、お子さんの入学・進学時や、病気や怪我をした場合には、毎月の養育費だけでは支払えない出費を強いられる可能性もあります。

離婚の影響でお子さんの将来の可能性が狭まるということはできるだけ避けたいと思われる方は多いかと思います。

このような特別の出費については、出費が生じた際に別途協議するという合意や、Sさんのように学資保険の返戻金という形で支払ってもらうという合意をしておかなければ、支払ってもらえないことも多いようです。

婚姻費用を増額

産休中だったSさんは、生まれたばかりの長女を抱え、生活費に不安を抱いていました。

そこで、弁護士は、Sさんが早急に婚姻費用の支払いを受けることができるように交渉しました。

これまでほとんど生活費を支払ってこなかった夫にとって、月額3万円の婚姻費用は負担になったようです。

結果的に、Sさんは、婚姻費用の支払いを受けることができました。

相談者様よりも相手方の方の収入が高いなど、相手方が生活費を支払う義務を負っている場合は、離婚の交渉に加えて婚姻費用の請求をすることで、早期離婚が可能になることもあります。

財産分与

別居後未払いとなっている過去の婚姻費用を請求することは法律上できません。

しかし、過去の未払婚姻費用は、実務上、離婚時の財産分与の額や方法を定める際に考慮される「一切の事情」(民法768条3項)に含まれると考えられています。

Sさんのケースでは、自宅や預貯金など、財産分与の対象となる夫婦共有財産がなかったため、Sさんは、財産分与は期待していませんでした。

しかし、未払いとなっていた婚姻費用を財産分与として回収できたことで、離婚後生活をたてなおすための資金に充てることができました。

財産分与が見込めない、これまで不払いの婚姻費用をなんとかして回収したい、夫が応じてくれないからとあきらめる前に、一度弁護士にご相談ください。

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会・ハワイ州弁護士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労務問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。





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