通帳開示に応じない妻との財産分与に成功した事例

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士


ご相談者Sさん (福岡市中央区)
職業:会社員
世帯年収:800万円
婚姻期間:5年
解決方法:調停
子どもあり (連れ子、実の子)
離婚を求められた

相手:40代専業主婦

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

 

サポート無 サポート有 利益
養育費 月額10万円 月額8万円 月額2万円減額
面会交流  –
財産分与 0円 300万円  300万円増額

 

突然の別居から離婚を切り出されたSさん

Sさんは、5年前に妻と結婚しました。

妻は、バツイチで、連れ子がいました。Sさんは連れ子と養子縁組しました。

結婚して2年ほどして、子どもが生まれました。

Sさんは、連れ子も実の子どもと同じように愛情を持って接したつもりでした。

ところが、妻はSさんが連れ子と実の子どもを差別しているなどと言うようになりました。

ある日、些細な事で言い合いになり、激しい夫婦喧嘩となりました。

次の日、Sさんが仕事に出かけたすきに、妻は子どもたち2人を連れて、別居してしまいました。

Sさんは、妻を探したところ、妻は、近くにアパートを借りて生活をしていました。

Sさんは、離婚は仕方ないと思っていましたが、子どもとは会いたいと伝えました。

しかし、妻は子どもと会うことさえも拒否しました。

そこで、Sさんは、今後について、当事務所に相談に来ました。

 

 

弁護士の交渉で妻から通帳開示させることに成功

弁護士は、家庭裁判所へ離婚調停を申立て、財産分与を求めました。

妻は、財産分与に関しては、財産がないと主張しました。

そこで、弁護士は妻に対して財産資料(預貯金の通帳、保険の解約返戻金の証明等)の開示を求めました。

ところが、妻は、財産資料の開示を拒んできました。

弁護士は、開示の必要性について、調停委員を通じて伝えました。

妻は、渋々通帳を開示したところ、約700万円の預貯金を保有していること、そのうち約100万円が結婚前から保有していることがわかりました。

弁護士は、結婚後に蓄えた預貯金約600万円が財産分与の対象となること、その2分の1の300万円を分与すべきであることを主張しました。

その結果、夫は妻から300万円を受け取ることができました。

 

 

弁護士の交渉で養育費は減額、面会交流が可能に

養育費の減額について

妻は、調停で養育費月額10万円を求めてきました。

弁護士は、夫の年収と妻に稼動能力があることから適正額が月額8万円であると反論しました。

その結果、養育費月額8万円で離婚調停が成立しました。

 

面会交流について

弁護士は、妻に子どもとの面会交流を求めました。

しかし、妻は、Sさんに合わせたくないと言って拒みました。

そこで、弁護士は、家庭裁判所へ離婚調停を申立て、速やかな面会交流の実現を主張しました。

妻は、調停において、Sさんから暴力を受けていたことを理由として面会交流に応じないと主張してきました。

そこで、弁護士は、調査官を選任してもらい、子どもの状況について調査をしてもらいました。

また、家庭裁判所で試行的面会交流を実施しました。

調査の結果、子どもがSさんに会いたがっていることがわかりました。

弁護士は調査結果報告書を基に、面会交流の重要性を主張しました。

その結果、妻を説得し、面会交流が実現できるようになりました。

 

 

離婚で相手が通帳を開示しない場合の対応方法

離婚において、妻側が財産を管理していたような場合、夫から妻に対して財産分与を求めることができますが、妻がどのような財産をどの程度保有しているかわからなければ請求できません。

万一、相手方が財産資料の開示に応じない場合、強制的に開示させる手段も検討します。

以下、具体的に解説いたします。

対応方法としては、裁判所を通じない対応方法裁判所を通じての対応方法があります。

裁判所を通じない対応方法

裁判所を通じない場合の対応方法として、もっともトラブルになりにくい強制度が低い方法としては、相手方を説得して、任意に通帳開示を行ってもらうことです。

しかし、それが難しい場合、主に同居中に行いうる証拠収集方法としては、相手方の通帳の写しをとることです。

写真を撮ったりコピーをとることがそれに当たります。

この場合、相手方に無断で行うことになるため、相手方は怒るかもしれません。

しかし、夫婦が結婚した後に形成した財産は、共有財産ですから、配偶者が写しをとる分には、法的にも認められるでしょう。

では、通帳が隠されている場合、どうしたら良いでしょうか。

この場合、何の手がかりもない場合には、難しいのが正直なところです。

しかし、手がかりは色々なところに転がっています。

例えば、銀行等の金融機関からのハガキ等があれば、その金融機関に相手方が口座を保有していることが分かります。

また、クレジットカードの明細からは、引き落とし口座の銀行名が分かるかもしれません。

相手方が確定申告をしているという場合には、確定申告書の控えには、税金の還付先口座の情報が記載されているかもしれません。

このように、まずは手がかりを入手することが大切です。

次に、その手がかりをもとに、どのようにして具体的な取引履歴や残高証明につなげられるかですが、この場合に有用なのが、弁護士会照会です。

弁護士会照会とは


ここでいう弁護士会照会とは、弁護士が所属する弁護士会に申し出を行い、金融機関に対し開示を求めていく制度です。

弁護士会は、公共的な機関という側面もあるため、弁護士会からの要請があれば、金融機関は、取引履歴や残高の開示に応じやすい傾向にあります。

とはいえ、金融機関に対し、夫婦共有財産であることを具体的に明らかにしたうえで、相手方の預金の取引履歴を照会する必要性があることを照会理由に説得的に記載できなければ、回答を拒まれることも珍しくはありません

そのため、上記の手がかりをつかめた場合には、より開示を受けうる可能性が高い後述の裁判所を通じた調査嘱託という方法の方がおすすめです。

 

裁判所を通じた対応方法

続いて、裁判所を通じた対応方法を解説します。

調停委員会の説得

一番穏当なものは、調停の場で相手方に対し開示を行うように指示してもらうという方法です。

当事者同士での任意の開示には消極的だった人も、裁判所からの指示があれば、従うということは珍しくありません。

そこで、調停委員会に対し、「相手方に任意開示するように指示してください。」と働きかけることは有用です。

調査嘱託等

では、それを相手方が拒む場合は、どうしたら良いでしょうか。

この場合には、調査嘱託という方法が有用です。

これは、裁判所を通じて金融機関に照会を行い、口座の取引履歴や残高を開示してもらうという強力な証拠収集手段になります。

相手方が拒んでいたとしても開示が認められるという点で、強制力は高いといえます。

もっとも、全く手がかりがない場合には、裁判所も調査嘱託を採用してくれません

裁判所に調査嘱託を促すためにも、前述のヒントを参考に手がかりを入手したいところです。

以上が、相手方が通帳を開示しない場合の具体的な対応方法になります。

裁判所の関与と強制度で分類し、図解したので、そちらも参考にされてください。

通常開示における裁判所の関与と強制度

 

 





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