作戦的に慰謝料を払い、スムーズに離婚することができた事例

世帯年収:700万円
婚姻期間:15年
解決方法:調停
子どもあり (3人)
慰謝料を請求された
相手:30代パート
サポート無 | サポート有 | 減額 利益 |
|
---|---|---|---|
離婚 | 不成立 | 成立 | – |
親権 | – | 相手方 | – |
養育費 | 月額10万円 | 月額7万円 | 月額3万円 |
慰謝料 | 500万円 | 200万円 | 300万円 |
財産分与 | 150万円 | 45万円 | 105万円 |
婚姻費用 | 月額9万円 | 月額9万円 | – |
Hさんは、15年前に結婚し、その後3人の子どもをもうけました。
しかし、1年ほど前に突然妻の代理人弁護士から性格の不一致を理由とする離婚の申し入れがありました。
この時点でHさん自身も夫婦関係が悪化していると思い、離婚自体には応じようと考えていました。
もっとも、相手が弁護士であり、条件面の交渉にあたり今後どのようにして進めていったらよいのかがわからないHさんは、代理人として弁護士に依頼しました。
早速弁護士は妻の代理人との条件面での交渉を開始しました。
しかし、交渉では、慰謝料の金額について折り合いがつかなかったことから、その点のみ調停にて話し合うこととなりました。
慰謝料については、妻が主張していたのは子供たちに対する体罰であったため、法的に妻に対する慰謝料が発生するものではないものと考えられましたが、解決金というような意味合いで一定程度支払うことがスムーズな解決に繋がるものと考えられました。
もっとも、相手方の請求している500万円という金額は、それだけの根拠がないもので高額に過ぎると考えられましたので、200万円が限界である旨の態度を示し続け、200万円で合意することができました。
協議が平行線であったため、調停に移行することとなりました。
財産分与については、Hさんの特有財産が認められるかどうか、妻が勝手にHさんの名前を偽造してかんぽ生命から借入れをして使途不明になっているものを財産分与の分与額から差し引くべきかが争点となりました。
弁護士としては、Hさんの特有財産を証明しようと、資料を可能な限り準備しましたが、証明十分といえるだけの資料が集まらず、この点については相手方に譲ることとなりました。
しかし、妻のかんぽ生命の無断での借り入れについては、夫婦共同の生活のために使われたものではないとして、これを分与額から差し引き、大幅な減額に成功しました。
本件は、夫婦が互いに離婚をすることには合意している事案で、いずれが法的に強い立場であるといった事情がありませんでしたので、弁護士としてはあくまで裁判所の基準にしたがった離婚条件しか提示できないという立場を強く示していくことで、適正額での合意をすることができました。
また、本件では純粋に慰謝料が発生する事案ではないと考えられましたが、スムーズな解決も依頼者の利益になりますので、そこを重視し、無用な争いを増やすことのないよう、一定の金額を慰謝料として支払うことに応じ、スムーズな解決を実現することができました。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で形成した財産を分ける制度です。
通常は、財産の2分の1を請求できますが、結婚前から持っていた財産や、相続や贈与を受けて得た財産は特有財産といい、財産分与の対象外です。
また、夫婦共同の生活ではないところに無断で使われたお金についても、分与額から差し引くことができる可能性があります。
本件では、上記の特有財産の証明や分与額からの差し引きなどの問題が絡んでいたため、これらの立証に当たっては法律の専門家である弁護士の介入が必要であったといえます。
これらがどのように判断されるかで、財産分与の額は大きく変わってくることがありますので、注意が必要です。

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会
保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労務問題
実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。

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依頼結果:
慰謝料 | 100万円(150万円減額) |