うつ病の妻から親権を取得【弁護士が事例で解説】

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

掲載日:2016年3月2日|最終更新日:2020年6月3日

悩む男性 相手がうつ病などの精神疾患を患っていて結婚生活がうまくいかない・・・

妻がうつ病・・・自分で子どもを育てたい・・・

うつ病の相手から子どもを取り戻せますか?

当事務所の離婚事件チームには、このような「うつ病と離婚」に関するご相談が多く寄せられています。

このような場合の対処法について、当事務所の弁護士が実際の相談事例をもとに解説しますので参考にされてください。

ご相談者Tさん (福岡市城南区)
子どもあり
離婚を求められた

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

状況

Tさんの妻は、精神疾患(統合失調症)を患っていました。

家事も育児も十分に行える状態ではなく、自傷行為もありました。

それにとどまらず、Tさんは、妻に包丁を向けられたこともあります。

放っておくと、他者に危害を加えることも十分に予見できました。

Tさんは、何度も、妻に、病院にきちんと通院するように説得しました。

しかし、妻は、説得には応じませんでした。

Tさんが、無理やりに通院させても、すぐに自分の判断で断薬してしまうのです。

統合失調症にとって、自身の判断での断薬は、絶対に行うべきではありません。

妻の症状は、寛解せず、悪化の一途をたどったのです。

そのような折、妻は、突然、子どもを連れて一方的に別居してしまいました。

Tさんは、この突然の連れ去り劇に、子どもが心配でならず、すぐに弁護士に相談することにしました。

 

弁護士の関わり

弁護士は、相談を受け、一刻を争う自体であると考えました。

そして、急ピッチで、子どもの監護者指定及び子どもの引渡し請求ならびに保全処分の申立てを行いました。

監護者指定・引渡しの審判とはについては、こちらをご覧ください。

保全処分も合わせて申し立てたことにより、10日後に審問の期日が入りました。

その期日の審問においては、弁護士は、以下のように訴えました。

  1. 妻が統合失調症を患って以後は、主たる監護者がTさんであったこと
  2. 同意なく連れ去られたこと
  3. 妻の病気を鑑みると、子どもの福祉に反する環境にあること

その結果、無事に保全が認められ、子どもを取り返すことができました。

さらに、本案でも、無事に、監護者にはTさんが指定されました。

裁判所の判断に、妻も諦めたのでしょう。

その後の離婚協議では特に大きなトラブルもなく、Tさんが希望する内容で離婚が成立しました。

 

 

親権はどのように判断する?

親権とは、未成年の子どもを保護・養育し、子どもの財産を代わりに管理する親の権利をいいます。

一般に、親権者の指定において、考慮すべき具体的事情としては、以下のものが挙げられます。

父母の側

監護に対する意欲と能力、健康状態、経済的・精神的家庭環境、居住・教育環境、子に対する愛情の程度、実家の資産、親族・友人等の援助の可能性など

子どもの側

年齢、性別、兄弟姉妹関係、心身の発育状況、子ども本人の意向など

親権についてのより詳しい説明はこちらのページをご覧ください。

 

 

精神疾患の場合

相手がうつ病などの精神疾患の場合、上記の「監護能力」に影響する可能性がある一事情と認められる可能性があります。

しかし、精神疾患といってもその病名や監護能力に及ぼす程度は様々です。

そのため、精神疾患の具体的な状況によって、親権の判断に及ぼす程度を検討しなければなりません。

なお、多くの親権に関わる事案を解決した執筆者の個人的な感想とはなりますが、よほど重症でなければ、精神疾患が直ちに親権者として不適格とはならない傾向にあります。

 

 

どのようにして対応すべきか

夫婦の争いというと、すぐに離婚調停を申し立てると思われるかもしれません。

しかし、本件のように、子どもが連れ去られたという事件の場合、そのような悠長な時間はありません。

では、どうすればよいのでしょうか。

正解は、監護者指定・子どもの引渡し、同保全処分を速やかに(連れ去りから数日の間に)申し立てることです。

ただし、監護者指定・子どもの引渡しは、生半可な手続きではないため、費用面でも精神的肉体的負担という面でもかなりの覚悟が必要です。

具体的には、監護者指定の前提として、子どもの監護に関する状況の陳述書を弁護士に依頼後に速やかに作成していただく必要があります。(書き方は弁護士から指示があるので、それに従ってください。)

また、一般に、子どもの奪い合いである監護者指定の局面では、どちらも監護権をほしいがゆえに、ともすれば嘘と思われるような極端な主張を行うことが多々あります。

その結果、精神的にもかなり疲弊していくことが予想されます。

そのため、私は、監護者指定を申し立てるに際しては、かなりの覚悟を依頼者の方に要求しています。

その覚悟がなければとても戦えないからです。

ともあれ、この手続はスピード勝負という側面があります。

連れ去りが行われたという場合には、すぐに、この分野に詳しい弁護士に相談しましょう。

父親が親権を獲得した事例についてはこちらをご覧ください。

まとめ弁護士

以上、相手がうつ病の場合の親権の問題について、解説しましたがいかがだったでしょうか。

親権をどちらが取得するかは、子供の未来に大きな影響を及ぼします。

そのため、相手に親権者として不的確な事情があればそれを有効に主張立証していくべきです。

また、相手が子供を連れ去っている場合、監護者指定の審判などを検討する必要もあります。

親権者の判断や対応方法については、離婚問題に精通した専門家でなければ、助言が難しいと思われます。

そこで、親権の取得を検討されている方は、この問題に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。

当事務所には、離婚問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、親権についてのトラブルを強力にサポートしています。

また、近くに専門家がいない遠方の方などは、LINEなどを利用したオンライン相談が可能です。

離婚や親権の問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

 

 

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労務問題  

実績紹介 / 離婚の相談件数年間700件超え(2019年実績)を誇るデイライト法律事務所の代表弁護士。離婚問題に関して、弁護士や市民向けのセミナー講師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおいて離婚問題での取材実績がある。「真の離婚問題解決法」「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を執筆。





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