自宅を売却し1500万円の財産分与を受けた公務員Kさん

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


ご相談者Kさん (福岡市西区)
職業:公務員
世帯年収:1100万円
婚姻期間:10年
解決方法:調停
子どもあり (1人(2歳))
離婚を求められた

相手:公務員

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

依頼前 依頼後 利益
妻への慰謝料 500万円以上 300万円 200万円以上減額
不貞相手の夫への慰謝料 300万円 150万円 150万円減額
財産分与 0円 1650万円 1650万円増額
養育費 月額8万円 月額4万5000円 月額3万5000円減額
面会交流 × ○(1ヶ月に2回)

 

状況

詳細状況

依頼者X:公務員(教職員)年収600万円
相手方Y:公務員(教職員)年収500万円
子ども:1人(2歳)

Kさんは、10年前に同業者(学校教員)である妻と結婚し、2年前に子どもを授かりました。

しかし、夫婦関係がうまくいかなくなり、セックスレスになる等の冷え切った状態になりました。

そして、Kさんは、別の女性(A)と出会い、交際するようになりました。

また、Aには夫(B)がいました。

そんなある日、妻がKさんのスマートフォンのメールを盗み見したことから、Aとの浮気が発覚しました。

そして、妻は子どもを連れて実家へ帰るという形で別居しました。

その後、妻に代理人弁護士がつき、Kさんへ離婚を求めてきました。

妻側の具体的な離婚条件は、親権は妻、慰謝料の代わりに妻が自宅を取得すること、養育費として月8万円という内容でした。

また、BもAとKさんとの浮気に気づき、Kさんへ慰謝料300万円を請求してきました。

Kさんは、Bへ解決金として150万円払うと言いましたが、Bはまったく納得してくれず、非難されるだけでした。

Kさんは、どうしたらよいかわからず、当事務所にご来所されました。

 

※この事例は、以下争点ごとに弁護士の関わりと補足説明を掲載しています

弁護士の関わり

慰謝料の減額について

【不貞相手の夫への慰謝料】

まず、弁護士は、Bさんと妻の代理人弁護士に対し、Kさんとの直接の接触を禁止する旨記載した受任通知を書面で送付しました。

そして、交渉を開始しました。

Bさんに対しては、加害者代理人として、誠心誠意対応しました。

そして、裁判になったときの見通し(適正な慰謝料の額)や、早期解決のメリットを伝え、受任からわずか1か月間で150万円での示談に成功しました。

【妻への慰謝料】

妻は、示談交渉の段階では、慰謝料の代わりに自宅の取得(Kさんから妻への名義の移転)を求めてきました。

連携不動産業者の時価査定で、自宅の時価が2600万円程度であることが判明し、妻の要求が過大であると主張しました。

これに対して、妻側の弁護士は、自宅の時価が固定資産評価額である1300万円であると反論してきました。

そのため双方の協議がまとまらず、離婚調停へ移行することとなりました。

調停では、調停員会を通じて、当方の主張(自宅は固定資産評価額ではなく時価で評価すべきであること)が妥当である旨、相手方を説得することができました。

すると、妻側の弁護士は、自宅を諦め、慰謝料として500万円支払うことを求めてきました。

これに対して、慰謝料の額が過去の裁判例に照らして高額であること等を主張し、交渉しました。

その結果、慰謝料については、解決金として、300万円を支払うことで和解が成立しました。

財産分与について

財産分与に関しては、妻側の要求が適正か判断するため、相手方に財産開示を求め、自宅の連携不動産業者に時価査定してもらいました。

開示の結果、双方の財産内容は次のとおりであることが明らかになりました。

Kさん名義

自宅:時価2600万円
預貯金:100万円
保険:400万円
負債:なし

妻名義

預貯金:700万円
保険:100万円
負債:なし

そして、もしも妻が自宅を取得するのであれば、妻がKさんへ代償金1450万円を支払うべきであることを主張しました。

また、妻が1450万円もの代償金を支払うことが現実的でないことから、自宅を売却する案を提示しました。

これに対して、妻側の弁護士は、自宅の時価が固定資産評価額である1300万円であること、したがって、代償金は支払わないなどと反論してきました。

離婚調停へ移行し、調停員会を通じて、当方の主張が妥当である旨、相手方を説得することができました。

その結果、Kさんが妻から現金300万円を受け取るほか、自宅については売却しその売却代金の2分の1を双方が取得するという合意内容で調停が成立しました。

その後、Kさんの自宅を不動産業者を通じて2700万円で売却することに成功し、Kさんは、その2分の1である1350万円を取得できました。

養育費の減額について

本件では、双方の年収からすると、養育費の適正額は月額4万5000円程度でした。

しかし、妻側の弁護士は、慰謝料を求めない代わりに、自宅の取得と養育費として月額8万円を求めてきました。

これに対して、弁護士は、慰謝料や財産分与の問題と養育費は別物であることから、適正額を支払うと主張しました。

その結果、養育費については、月額4万5000円で和解が成立しました。

面会交流について

面会交流の早期実現を求めました。

これに対して、妻は、Kさんが浮気したために夫婦関係が破綻したのであるから、子どもと会う資格がないなどと非難してきました。

これに対して、面会交流は子どもにとって大切な機会であること、面会交流をさせないのであれば、親権者として不適格であるとして親権を争うと反論しました。

すると、妻側は、面会交流には応じると言ってきました。

しかし、妻側は、離婚の合意条項としては、面会交流の具体的な回数は明記せず、「回数等は離婚後に協議して決める。」という案を提示してきました。

そこで、当方は、面会交流の回数として、月に2回ということを明記してほしいと求めました。

しかし、妻側が応じず、協議は整いませんでした。そして、調停へ移行しました。

調停において、粘り強い交渉の結果、「面会交流の回数は月に2回」ということを明記してもらい、面会交流が実現できました。

 

補足

慰謝料の減額について

本件では、不貞相手の女性の夫からも慰謝料を請求してきていました。

専門家が代理人についていない場合、当事者同士の交渉では感情的になってしまい、まとまらないことが多くあります。

このような場合、弁護士を代理人とすることで交渉がスムーズに行くことが多いです。

当事務所は、被害者側だけでなく、加害者側の交渉も得意としておりますので、お気軽にご相談ください。

財産分与について

財産分与の対象に不動産がある場合、その時価査定が問題となります。

本件のように、相手方は、固定資産評価額であるなどと主張することがありますが、時価で算定すべきです。

また、信頼できる業者に適切に査定してもらうことが重要です。そのため、当事務所では、不動産業者と連携しています。

時価査定の結果、自宅は2600万円の価値がありました。

その場合、下記の計算式より、妻が自宅を取得する場合、Kさんに1450万円を支払う必要があります。

夫婦の共有財産

(2600万円 + 100万円 + 400万円)+(700万円 + 100万円)= 3900万円

それぞれの取得分

3900万円 ÷ 2 = 1950万円

自宅を妻が取得する場合に妻がKさんへ支払うべき額
1950万円 -(Kさん預貯金100万円 + Kさん保険400万円)= 1450万円

なお、本件では、時価よりもさらに100万円高く、自宅を売却することにも成功しています。

養育費の減額について

本件では、養育費の他に、財産分与や慰謝料が争点となっていました。

Kさんにとって、慰謝料を支払わないことはメリットですが、養育費を増額されては意味がないどころか、むしろ負担となります。

今回の事例では、もし、養育費を月額8万円で合意していれば、適正額よりも月額3万5000円も高くなります。

子どもが2歳でしたので、仮に、20歳に達するまで月額8万円を支払うとすると、トータルで756万円も負担することとなってしまいます。

(8万円 - 4万5000円)× 18年 = 756万円

慰謝料の相場が200万円から300万円程度であることからすると、明らかに過大な負担となります。

また、養育費は、一度合意すると、特段の事情の変化がないと簡単に減額はできません。

養育費の合意は、慎重に行うことが大切です。

面会交流について

本件では、面会交流の具体的な回数の明記について、争点となりました。

本件のように、妻側が面会交流に消極的な場合で、かつ、子どもが小さい場合、回数を明記すべきです。

離婚成立後、仮に、妻側が面会交流に応じない場合、面会交流を実現することが難しくなるからです。

約束違反と主張しても、妻側としては、「協議する」としか記載されていないなどと開き直られてしまう可能性もあります。

 

 





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